熟母交姦

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第二章 アンダースコートの匂い

「こんにちわ、勇くん」
 美雪は勇気を振り絞って声をかけた。
 夏樹の一人息子である勇介が、玄関のドアに手をかけた時だった。
「あっ、こんにちわ、美雪さん」
 振り向いた勇介は少し照れ臭そうに挨拶をする。
 その眼差しには年上の異性に対する仄かな憧れが宿っていた。
「今、帰り? 今日は早いのね」
「うん、今日は部活がなかったから。そうだ、達也はもう帰ってる? 教室まで迎えに行ったら、もう帰った後だったんだ」
「ううん、まだ帰ってないわ。きっと何処かで道草食ってるのね」
 帰っていないのは本当。でも、道草の方は嘘だった。
 今ごろ達也は夏樹と一緒にいるのだろう。いったいどんな目に遭っているのか。
 夏樹とは同じ日に仕掛ける約束はしたが、誘惑の方法までは話し合わなかった。
 仮にどんな方法であれ、大人しい性格の達也だから、きっと良いように翻弄されているに違いない。
 それを思うと少しだけ胸が苦しくなる。
「そっか、一緒に遊びに行こうと思ってたんだけど……仕方ないな。一人で遊びに行ってもつまらないから、自主練でもしてくるか」
 達也に較べて勇介は大人びた性格の活発な少年だ。テニス部に所属し、いつだってラケットを背中のバッグに背負っている。
腕前の方も同学年では一、ニを争うほどらしい。
「あら、じゃあ私と一緒ね。私も久しぶりに練習しに行こうと思っていたところなの。練習っていっても、一人で壁打ちするだけなんだけど」
 近所を流れる川沿いにテニスコートがあるのだが、一人ではコートを使えない。
 ほとんど唯一の友人である夏樹は、器用さを要求される球技は嫌いだと言い切るし、美雪は人付き合いが苦手なので、見知らぬ奥様連に混じって練習する気にもなれなかった。
「えっ……じゃ、じゃあさ、一緒に練習しようよ」
 目を輝かせて勇介は言った。
「壁打ちよりそっちの方が楽しいし、お互い練習にもなると思うよ」
「あら、私が相手で良いの? 私、へたくそよ」
「だったら尚更、俺がコーチしてあげる。すぐに準備してくるから待ってて」
 勇介は嬉々として家へと駆け込んでいく。
「別に急がないで良いわよ。車庫から車を出して待ってるから」
「オッケーッ!!」
 勇介の元気な後姿を見送りながら、美雪は思った以上に話が上手く運んだことにほっと胸を撫で下ろす一方、これから自分がしようとしている行為に対して、一抹の罪悪感を抱かずにはいられなかった。
(確かに保護者の許可は取ってあるけれど、中学生の男の子を誘惑するなんて、それも息子の親友に手を出すなんて、許されるのかしら? それに、私みたいなおばさんに誘われても、勇くんの方は迷惑かもしれないし……)
 罪悪感はいつしか勇介に拒絶される不安へと変わり、美雪はこの日の為に新調した二種類のアンダースコートの内、よりセクシーな方を穿こうと心に決めた。
 
 コートを本気で駆け回るなんて、いつ振りだろう。
 美雪の息が上がるのはあっという間だった。
 ネットの上ぎりぎりの高さを飛来し、コートを対角線状に横切ってバウンドする、お手本のような打球にようやく追いつき、ラインの内側へどうにか打ち返す。
 今の美雪にはそれが精一杯だった。
(う〜きつい。脚も重いけれど、なにより胸が重いわっ)
 体力の低下は仕方ないとして、テニス部に所属していた高校時代に較べて、明らかに胸が重くなっていた。
 アンダースコート同様、この日の為に新調したスポーツブラの中で豊満過ぎるバストは暴れ回り、打球をレシーブするたびに上半身が振られてバランスを崩してしまう。
 それでもなんとかラリーを続けられるのは、勇介が手加減してくれているからだ。
 さすがは現役というべきか。勇介の走り込みは軽やかで、サーブもレシーブも恐ろしく正確だった。
「美雪さん、いっくよぉ」
 呑気な掛け声と共に、美雪の追いつける限界一歩手前に、易々とピンポイントで打ち込んでくる。
 その技量は高校時代の美雪とは比べ物にもならない。
 右へ左へ、勇介の思いのままに走らされ、高校時代からの愛用品である白いプリーツスコートが派手に捲れた。
(勇くん、呆れてないかしら。この年齢でわざわざふとももの見えるウェアなんか着てみっともないって。アンダースコートだって、実際はほとんどパンツと変わらない訳だし)
 時として、アンダースコートに包まれたヒップが丸見えになることさえあったが、内心はともかく、風に捲れるスコートを気遣いながらプレイするような余裕は、ある筈も無かった。
 そうこうしているうちに、いよいよ美雪は脚にきた。
 レシーブしようと踏ん張った瞬間、膝がカクンと抜けて、勢いのままに横倒しになってしまう。
 受身らしい受身もとれず、美雪は大股を広げてコートに寝転がった。
「美雪さんっ!」
 すぐさま勇介がネットを飛び越えて駆け寄ってきた。
「ごめんっ。今のはちょっと無理だったかな。大丈夫?」
 心配そうに片膝をついて訊いてくる。真っ先に自分を責める優しさが嬉しかった。
 もちろん美雪はフォローする。
「うん、私は平気だから謝らないで。それより、私の方こそごめんね。手加減ばかりで練習にならないでしょう?」
「そんなことないよ。テニス部の同学年の連中よりよっぽど上手いもん。それに美雪さんとなら、練習にならなくたって楽しいし」
 この手の台詞を平気で口にできる無邪気さが愛らしい。
 しかし、勇介もやはり男の子という事だろう。
 平静を装いつつ、けれどもその視線は開けっ広げになった美雪のスコートの中へと、ちらちら遠慮がちに向けられていた。
(勇くんったら、私のアンダースコートを見てくれてる。恥かしいなぁ……。でも、エッチな方にしておいて良かった。中身がおばさんなのに、穿いてるアンダースコートまでおばさんっぽいのじゃ、がっかりさせちゃうものね)
 内心ほくそ笑んだ美雪は、不躾な視線には気がつかない振りをして会話を続ける。
「私も勇くんとテニスできて楽しいわ。普段は夏樹さんが遊びに来て話し相手になってくれるし。二人には感謝しなきゃね。そういえば今日、夏樹さんは?」
 白々しくも訊いてみた。もちろん勇介には内緒だろうが、念のために。
「家にはいなかったから、泳ぎに行ってるんじゃないかな。最近、やたらと張り切ってるんだ。あれ以上ダイエットしたら、体重なくなっちゃうと思うんだけど……」
 何も知らない勇介の口振りが胸に痛い。
 夏樹が張り切っている本当の理由を知ったら、勇介はどう思うだろう。
 たかだかパンツ一枚のことで、親子関係や達也との友情にひびが入るとしたら、それは誰にとっても割が合わないのではないか。今になって美雪は後悔し始めた。
「って、ごめん。美雪さんが倒れてるのに手も貸さないで。どう、立てそう?」
 勇介は思い出したように、ラケットを持っていない方の手を差し伸べてくれた。
「ありがとう。勇くんは優しいわね」
「そ、そんなことないって。普通だよ、普通」
 心なしか頬を赤らめて勇介は答えると、美雪の手をおずおすと握って引き起こそうとする。
 美雪も勇介の手を握り返し、その握力の確かさに甘えて身を任せてしまう。
 それが間違いの元だった。
「うぁっ!」
 力は充分にあったようだが、十四歳の少年では体重が釣り合わなかった。
 もしかしたらスレンダーな夏樹と同じつもりで助け起こそうとしたのかもしれない。
 しかし、グラマータイプの美雪は、その豊満さに応じてそれなりに体重があった為、予想外の荷重に勇介はつんのめり、そのまま倒れ込んできた。
(いけない、勇くんが怪我しちゃう!)
 現役テニス選手の勇介に怪我などさせる訳にはいかない。
 美雪は咄嗟に腕を広げて受け止めようとした。
「きゃうっ!」
「うぶっ!」
 二人の悲鳴が交錯したかと思うと、スポーツブラで寄せ上げられたバストの谷間に、重い衝撃が走った。まるでドッジボールの球を胸で受け止めたような衝撃だった。
「あいたたた……」
 どうやら素早い判断とバストのボリュームが効を奏したらしい。
 気付いた時には、テニスウェア越しに勇介の顔が巨乳の谷間に深々と埋まっていた。
「勇くん、大丈夫? 怪我はない?」
 訊きながら、乳房を圧迫する勇介の重みと温もりに背筋がぞくぞくした。
 こうして誰かを抱き締めるのはいつぶりだろう。
「う、うん……」
 美雪の腕に抱かれ、豊かなバストに顔を突っ伏したまま勇介は返事をした。
「美雪さんは平気? ごめん、助けるつもりだったのに、こんなことになっちゃって……」
「ううん、勇くんに甘えて私が思い切りぶら下がったからいけないの。夏樹さんみたいにスマートじゃないから……私、重かったでしょう?」
「そ、そんなことないって。美雪さん……胸とかすごく大きいし、お尻だって、ふとももだってすごく女らしいし。だから、体重なんて気にしなくて良いと思うよ」
 思春期真っ只中の少年にとって、近所のおばさん相手に性的な話しをするのは気恥ずかしいのだろう。勇介はバストに埋めた顔を上げようとはしなかった。
「ありがとう。勇くんにそう言ってもらえると自信が出るわ」
 出張続きの夫はたまに帰ってきても、疲れていると言って美雪の肉体には触れようともしない。その癖、背広のポケットからは風俗店のマッチやら名刺やらが出てくるのだから、妻としては立つ瀬が無かった。
 それに較べて勇介は、まだ年端もいかない少年なのに、精いっぱい女心をくすぐってくれる。優しい子だと思った。
 すっかり上機嫌になった美雪は少し調子に乗ってみる。
「それにねえ、勇くん。こんなこと言うのもなんだけど、さっき私のスコートの中を覗いてたよね?」
「み、美雪さんっ……お、俺……」
 邪な視線を見破れられていたと知り、勇介はびくりと身体を震わせてようやくバストの谷間から顔を上げると、絶望の表情でこちらを見つめてきた。
「待って、待って。怒ってるんじゃないの。嬉しかったの。私みたいなおばさんのアンダースコートを見てくれるなんて思わなかったら。実を言うとね、いま穿いてるアンダースコート、勇くんに見てもらおうと思って派手なのにしたの。喜んで貰えたのなら、その甲斐もあったのかなって」
 美雪は隠し事が苦手だった。
 もう少しで夏樹との企みまで白状してしまいそうになり、慌てて口を噤む。
「俺、男子校通いだからさ、アンダースコートを穿いてるとこ見るのって新鮮なんだ。まして相手が隣の美雪さんなら……尚更ね」
 そう言ったまま勇介は再び俯いてしまったので、その頬を両手で包み、そっと上向かせて訊いてみる。
「私が相手だと、どうして尚更なの?」
「だってさ、母さんのパンツは見慣れてるけど、美雪さんのはそうじゃないし……」
「だから、夏樹さんと私のパンツを交換したの?」
「えっ……」
 勇介は地雷を踏んだ間抜けな一兵卒の顔になった。
「達也の部屋でね、見つけちゃったの。一枚だけ私のじゃないパンツが混ざってたわ。それも私なんかじゃ絶対に穿けないエッチなTバックショーツ。私の勘が正しければ、あれは夏樹さんのよね。ということは、代わりに私のパンツが勇くんの所に行ってる筈なんだけど」
「そ、それ、母さんには……」
「告げ口なんてしてないから安心して」
 心を鬼にして嘘を吐いた。勇介や達也に恥をかかせるのは本意ではない。
 二人のプライドを無闇に傷つけないこと。それが夏樹との約束だった。
「もちろん、達也にも内緒よ。パンツは全部元あった場所に戻しておいたし、私に見つかったことも達也は知らないと思うわ」
 美雪の言葉にほっとした様子で勇介は言った。
「持ちかけたのは俺なんだ。一枚ずつ交換しないかって。俺も達也もベランダに吊るされてるのをお互い気にしてたから、話は早かったよ」
「勇くんたちが持ってるのは、夏樹さんと私のパンツだけ?」
「えっ、どういうこと?」
「知らない女の人の下着とか……」
「そんなことしないよっ。母さんと美雪さんは俺らにとっては特別なんだ」
 勇介は苦し紛れに嘘を吐くタイプではない。美雪はほっと胸を撫で下ろす。
 そして、躊躇いもなく勇介の口にした、特別という言葉が印象に残った。
 思春期の少年にとって母親など、疎ましい存在でしかないと思っていたので、尚更驚かされた。
「疑ってごめんね。でも、どうして私たちは特別なの?」
「どうしてって言われても……」
「勇くんたちの年頃だと、母親なんて鬱陶しいだけなんじゃない?」
「確かに友達とかみんなそう言ってるけど、俺たちはそんなこと絶対にない。それは多分……」
「多分?」
 この機会に美雪はどうしても訊いておきたかった。
 息子たちが自分たち母親をどう思っているのか。
「多分……美雪さんや母さんが、若くて綺麗で優しいからだと思うよ。だから……」
 勇介はそのまま完全に黙り込んでしまった。
 若くて綺麗、そして優しい……他人から聞かされるのなら、ただの社交辞令にしかならない言葉だ。
 しかし、息子の口から発せられたとすれば、それは異なる意味を持つ。
 よちよち歩きの頃から知っている勇介は、美雪にとっては実の息子のようなもので、しかも、最後に勇介が飲み込んだ禁断の言葉は、しっかりと美雪に伝わっていた。
 だから、好き……と。
「嬉しいわ、勇くん。私、本当に嬉しい」
 胸の奥がじんと熱くなり、沸き起こる歓喜に任せて、美雪は勇介を抱き締めた。
 達也も勇介と同じように思ってくれていたら良いのだけど……そう願いながら、いよいよ本気で誘惑しようと決心する。
「ねえ、勇くん。勇くんのおちんちん……なんだかすごく硬くなってるよ。さっきからずっとお腹に当たってるの」
 勇介が倒れ込んできた時から本当は気付いていた。
 久しく触れていない夫の物とは比べ物にもならない、びっくりするほど硬いペニスが下腹部にぴったりと押し付けられているのを。
「そ、それは仕方ないじゃん。美雪さんの胸おっきくて柔らかいし、いい匂いするし。それに……実を言うとさ、倒れた時に美雪さん、思いっきり脚を広げてたから見えちゃったんだ。アンダースコートの股の所からピンク色のパンツが食み出してて、めちゃくちゃエロいんだもん」
 ショーツを見せない為にアンダースコートを穿く訳だが、バレエや新体操の選手もかくやという余りの大股開きに、見えてはいけないものが見えてしまったらしい。
 美雪は慌てて股を閉じようとしたものの、股の間には勇介が挟まっているので、まったく無駄な行為だった。
「やだっ、恥かしいっ。黙ってずっと見てたの? でもって、一人でおちんちん硬くしてたのね? もうっ……勇くんは本当に悪い子」
「ご、ごめん」
 バストの谷間に顔を埋め、しゅんとしてしまった勇介を怒る気持ちなど、美雪には微塵も無かった。あるのは全身を駆け巡る羞恥の火照りと、痺れたように腫れぼったくなった股間の熱い疼きだけだ。
「私のパンツ……もっとちゃんと見てみたくない?」
「えっ……」
「勇くんは夏樹さんや私のパンツでオナニーしてたのよね。そんなにパンツが好きなら見せてあげてもいいわ。その代わり、私にも見せて欲しいの。スコートの匂いを嗅ぎながら勇くんがオナニーするところ。私、男の子がオナニーするところって、まだ見たことないから」
 今、穿いているアンダースコートの匂いを嗅ぎながら、勇介が一心不乱にペニスをしごきたてている。その様子を思い浮かべて、美雪は身体の芯が震えるほどの欲情を感じた。
「それ……本気で言ってるの? 美雪さん」
 コケティッシュなルックスの美雪が見せた貪欲な牝の表情に、かえって勇介の方が怖気づく。
「これでも冗談だと思う?」
 美雪は戸惑いにおどおどしている勇介の唇を思い切って奪った。
「んんっ!」
 勇介は息を呑み、慌てて瞼を閉じると小さく肩を震わせる。
 その肩をしっかり抱き締めて、美雪は深く唇を食んだ。
 成長期真っ盛りの唇は、有り余る若さで艶やかな張りを保ち、その表面はゼリーのようにつるりとして心地良い。
 この前に交わしたのはいつだったか、それすら思い出せない、久方ぶりに味わうキスは十四歳の少年の味がした。
 別れを惜みながらゆっくり唇を離すと、思いがけず勇介の性衝動が爆発する。
「み、美雪さんっ! 俺っ……前からずっと美雪さんとこうしたかったんだ!!」
 生肉を貪る狼のように、テニスウェアの上から乳房を貪ろうとする勇介を制して、美雪は言った。
「待って! ここじゃ駄目よ。人の居ない所へ行きましょ。ねっ、私の言うことを聞いて。いい子だから」
 夫の淡白さに慣れ切っていた美雪は、豹変した勇介の見せる激しい性欲の発露に驚かされる。
(あぁっ! これが年頃の男の子なのね。今ごろ達也も、こうやって夏樹さんの身体を貪ってるんだわっ!!)
 しかし、それは決して嫌な印象を残すものではなかった。
 むしろ若い牡に思う存分蹂躙されたい、そんな淫らな気持ちに支配される。
 美雪は今にも溢れ出しそうな自身の欲望を懸命に抑え、サーカスの猛獣使いにでもなったつもりで勇介を宥めた。
「大丈夫よ。私は逃げたりしないわ。二人っきりになったら、勇くんに女の良さをたっぷり教えてあげる。さぁ、行きましょう」
 催眠術にでもかかったようにすっかり大人しくなってしまった勇介を抱き起こすと、手を引いて美雪は家から乗ってきたワンボックスカーへと歩き出した。
 一歩足を踏み出すたび、アンダースコートとその下に穿いたショーツの奥で、汗と愛液に濡れそぼった秘裂の肉びらがくちくちと卑猥な液音を発てて擦れ合う。
 濡れた膣内に響くその音を子宮口の窄まりで感じながら、美雪は重なり合った二枚のクロッチにねっとりとした染みを作ってしまうのだった。
 
 駐車場の隅に停めたワンボックスカーの後部座席に座り、ウインドウのカーテンを全て閉じる。薄暗くなった車内で一息吐くと、美雪は少しだけ腰を浮かせ、思い切ってアンダースコートを脱ぎ下ろした。
 肩を並べて座る勇介がごくりと音を発てて唾液を飲み込む。
 その視線はプリーツスコートの下から現れ、染みひとつ無いふとももの表面を滑って脱ぎ下ろされたアンダースコートに釘付けだった。
 美雪は勇介の視線を充分に意識しながら、テニスシューズを脱いだソックスの足を片方ずつアンダースコートから引き抜いていく。
 卸したてのアンダースコートはシルク製の高級品で、ヒップの谷間とウエスト回りに三段のフリルがあしらわれ、フリルとフリルの合間には湿気抜きのレースが編み込まれていた。
 一度しか穿いていないのでゴムが強く、放っておくとすぐに縮んで丸まってしまう。
 それを左右に伸ばして広げて見ると、心配していた通り、ちょうど秘裂の押し当てられるクロッチの真中にしっかりと黒い染みが出来ていた。
「やだ、私ったら……ごめんね、勇くん。せっかく新調したのに早くも汚しちゃったみたい」
 自分から言い出したとは言え、いざ汚れた下着を手渡すとなると、さすがに恥かしくて赤面する。
 しかし、汚れ物でなかったにせよ、勇介には既にショーツを悪戯されている訳で、今さら恥かしがっても仕方なかった。
 観念した美雪は染みを隠すようにアンダースコートを折り畳み、そっと勇介に手渡した。
「凄いや、こんなに綺麗なアンダースコート見たことないよ。それも美雪さんが今の今まで穿いてた、脱ぎたてのほやほやだ。俺、夢を見てるみたいだよ」
 受け取ったアンダースコートをさっそく広げると、勇介は目を丸くする。
 そして美雪が口を挟む間も無く、アンダースコートに深々と顔を埋めた。
「あっ……ちょっと勇くん……そんなっ……そんなことしたら私っ……どうしよう」
 余りのストレートな行動に、美雪は恥かしくて居たたまれなくなる。
 しかし、勇介はお構い無しに深呼吸を繰り返すばかりで、あまつさえ恍惚として、とうとうと感想まで述べる始末だった。
「あぁっ……美雪さんの匂いがする。達也に貰ったパンツなんか、比べ物にもならないくらい強烈だよ。汗も一杯かいているし、それになんだろう? 古くなったオレンジみたいなこの匂いは……」
 それは紛れも無く、たっぷりと分泌された愛液の匂いだった。
「いやぁっ! やっぱり返して勇くん。そんな汗臭くて、エッチ臭いパンツの匂いなんて嗅いじゃ駄目っ!!」
 ここまで来て何を言ってるのか、と自分でも思う。しかし、勇介を誘惑して虜にするという使命は、既に達成されているような気がして仕方なかった。
「美雪さんがそんなに言うなら返すよ」
「ほ、本当?」
 予想外の素直な反応に嬉々として訊ねると、返ってきたのは身も凍るような返答だった。
「でも、こうやって脱ぎたての味を覚えちゃったから、これからはもう洗った奴なんかじゃ我慢できない。何処かの家に偲び込んで、洗濯籠を漁らなくちゃならないな」
「そ、そんなの絶対に駄目っ!!」
 それでは本末転倒ではないか。美雪は焦った。
「だったら、僕の好きにさせてよ。それに美雪さんは言ったよね。女の良さをたっぷり教えてくれるんでしょう?」
「それは……そうだけど……」
 何時の間にか、立場は完全に逆転していた。
 誘惑する側から、弄ばれ、奉仕させられる側へと、知らぬ間に転落していたのだ。
「言われた通り、これから美雪さんのアンダースコートの匂いでするから、ちゃんと見ててよね」
 そう言うなり勇介はショートパンツとブリーフを一度に脱ぎ下ろした。
「きゃあっ!」
 恥かしがるような年齢はでないと知りつつ、美雪は思わず黄色い悲鳴をあげ、両手で顔を覆ってしまう。
 夫はもちろんのこと、最近は達也の身体だって見る機会は無いので、異性の裸体に対する免疫力が落ちていた。
 しかし、その一方で好奇心は押さえ難く、しっかり顔を隠しながらも指の隙間から恐る恐る勇介の肉体を覗き見る。
 剥き出しになった達也の下半身はテニスによって鍛えられ、真っ平らな腹筋は薄っすら割れていた。
 体毛は一本も見当たらず、股間にそそり立つピンク色のペニスがなければ、少女と言われても頷いてしまいそうだ。
 それほどまでに勇介の身体は細く、肌は透き通るように白かった。
 余りの綺麗さに、今や中年に差しかかろうという美雪は嫉妬すら覚える。
「俺だって筈かしいんだから、ちゃんと見てくれなきゃ。達也からパンツ貰った時も、部屋のベッドにこうして座りながらしたんだ。母さんの派手なパンツに少し飽きてたから、美雪さんの上品で可愛らしいパンツはすごく新鮮だったよ」
「あ、ありがとう。でも、喜んで良いのかしら? すごく悩むわ」
 勇介の言いつけに従って、美雪は顔を覆う両手を下ろした。
 それでも目を見て話すことは出来ず、自然と視線は下がって結果的に反り返ったペニスの先を見つめてしまう。
(勇くんのおちんちん、大きさだけなら、もうすっかり大人ね。しっかり皮も剥けてるし……それなのに茎は白くて、先っぽは綺麗なピンク色で、なんだか可愛いらしい。達也のおちんちんもこんな感じかしら?)
 年若い少年のペニスをまじまじと見るのは初めての経験だった。
 世間的に言えば完全に犯罪であり、巷を騒がせるロリコン男達となんら変わるところはない。
 罪悪感混じりの緊張と興奮に下腹部は引き攣るように圧迫され、収縮した膣から熱い愛液がとろりと滴り、ショーツを濡らしていく。
「じゃあ、始めるね。俺、すごく興奮してるから、すぐに射精しちゃうと思うけど」
 恥かしそうに瞼を閉じた勇介はアンダースコートを裏返すと、汗を吸収するために二重になってるクロッチの内張りを鼻に押し当てた。
 そうして、もう片方の手でペニスの茎を握り、ゆっくり上下に擦り始める。
「う……わぁ……」
 感嘆の溜息を漏らして、美雪は見つめる他なかった。
 根元から先端へとしごき上げるたびに、ピンク色の亀頭は熟した李のように膨らみ、その種穴から透明な樹液が溢れてペニスの腹を流れ落ちて行く。
 自慰行為に没頭する勇介は、美雪の存在など忘れてしまったみたいに、アンダースコートのクロッチに舌先を這わせ、美雪の膣より分泌された粘液を夢中で舐め取る。
 その様子を食い入るように見つめながら、美雪は自分の秘裂を直接勇介に舐められいる錯覚に陥った。
(あ、あんな風に勇くんに舐めて貰えたら……気持ち良くて私、頭が変になるかもしれないわ……)
 自分でも気がつかない内に指をスコートの中へと偲び込ませていた。
 窓を閉め切った車内は暑く、スコートの中はすっかり蒸れて掌がじっとりと汗ばむ。
 アンダースコートとの二枚穿きでプレイしていたため、ショーツは穿いているのも気持ち悪いくらい湿っており、そっと指を這わせたクロッチは、たっぷり分泌された汗と愛液で失禁でもしたようにぐしょ濡れになっていた。
(いけないっ……勇くんのオナニーするところを見ながら、自分までオナニーするなんて、達也の母親として許されないわ。なのに私ったら、こんなにパンツ濡らしてる。なんていやらしい女なんだろう……)
 美雪は激しい自己嫌悪に襲われた。けれども、指先は止められず、甘い快楽を求めて、濡れたクロッチの貼り付く恥丘の盛り上りを繰り返し爪弾いてしまう。
「ひんっ!」
 たまらず鼻から小さな叫びが漏れた。幸いすぐに堪えたので勇介には聞かれずに済んだようだが、思った以上に身体は敏感になっており、迂闊に愛撫すれば今度は喘ぎを止められないかもしれない。
 特にショーツの中で硬くしこっているだろうクリトリスは、そっと触れただけでじんじん痛むほど過敏になって、その痛みの後から腰が砕けるほどの快感が津波となって幾重にも襲いかかってくる。
 美雪は細心の注意を払って指の腹をクロッチに添え、撫でるようにクリトリスを擦り立てた。
「はぁん……」
 ひとつ甘い吐息を吐いて、恍惚に蕩けた目で勇介を見遣ると、夢中でアンダースコートを貪る勇介は肩で息をしながら、真っ赤に充血したペニスに激しいピストン運動を加えていた。
 膨らみ切った亀頭は塗りたくられた樹液でぬらぬらと濡れ光り、鈴口から搾り出される新たな分泌液は薄っすら白く濁り始めて、勇介の性感が射精の瞬間に向けて徐々に高まりつつあることを教えていた。
 しんと静まり返った車内に、剥き下ろされてはまた被さる包皮のくちゅくちゅという液音と、二人の艶かしい息遣いが交互に響く。
 換気の効かない密閉空間には、汗とカウパー腺液に愛液の混ざり合った濃厚な匂いが起ち込め、咽返るほど息苦しい。
 半ば酸欠状態となり、ぼうっとする頭で美雪は訊ねた。
「私のあそこの味は……どう? 美味しい?」
 車内を支配するあまりに卑猥な雰囲気を紛らわすには会話が必要だった。
「と、溶かしたチーズに……レモン汁を混ぜたみたいな味がする。鼻の奥も口の中も、美雪さんのエッチな匂いと味でいっぱいだ。もう何も考えられないよ……あぁっ、だんだん良くなってきた……俺、もう射精そうだよ」
 勇介はくぐもった声で射精の予兆を告げた。
 背筋を這い登る射精感に細い身体をくの字に折り曲げ、いっそう激しくペニスをしごき上げながら絶頂へと駆け上っていく。
「イクの? もうすぐイクのね? 待って、勇くん。最後は私がしてあげるわ。私の手で勇くんのおちんちんから白い精子を噴き出させてあげる」
 勇介からペニスを奪い取り、美雪は両手の指を組み合わせて作った肉壺を根元までしっかりと被せた。
 どうあっても自分の手で射精させたい。勇介を気持ち良くさせてあげたいという女心に突き動かされ、自分でも驚くほど積極的になっていた。
 美雪にとって勇介は達也の分身でもあったからだ。
「さぁ、イって! 私の手でイクのよ! ほらっ、ほらっ、どう? 自分でするよりずっと気持ち良いでしょう?」
 手淫など夫にだってした試しは数えるほどしかない。にも関わらず、今の美雪は勇介の若々しいペニスを両手でしっかり包み、握力を調節しながらリズミカルにしごき立てる。
 きつく絞った手の中で牡茎は滑り、久方ぶりに味わう肉の弾力に胸が躍った。
「み、美雪さんの手が俺のをしごいてる! 嘘みたいだ! まさか……まさかこんなことって……」
 美雪が愛撫しやすいようシートの背もたれに寄りかかり、勇介はアンダースコートに顔面を埋めたまま手淫の有り様に目を剥いた。
「あぁっ! うぅっ! す、凄いや、美雪さんの手の中、熱くてぬるぬるしてる! しかもゴムみたいに締めつけてきて、俺、溶けちゃいそうだよ!!」
「そうでしょう? 私の手はとても気持ちいいでしょう? だから、駄目よ。他の女の人にいやらしいことなんかしちゃ駄目っ」
 勇介の股間に顔を伏せ、下から見上げて美雪は約束させる。
「し、しないよ……絶対にしない。で、でも……俺……おれ……」
 急に神妙な顔になって勇介は口ごもった。
「でも……なあに?」
「ほ、他の女の人っていうのに……か、母さんも含まれてるのかなって思ってさ」
 女の勘がぴんときた。勇介は今更ながら、夏樹に気を使っているのだ。
「夏樹さん? もし、含まれてたらどうなの」
「いや……母さんだけは……除外して欲しいなって」
「ふふふっ、勇くんったら、お母さんともエッチなことしたいんだ」
「ち、ちが……」
「私のパンツだけじゃなくて、夏樹さんのパンツでもオナニーしているんでしょう? お母さんをそういう目で見ているのね。正直に白状しないと、もうエッチなことしてあげない」
 美雪は握っていた勃起ペニスから手を離し、勇介を追い詰める。
 実の母親を思って自慰に耽る勇介の姿は、そのまま達也の姿でもある。
 本人の口から、母親の下着で抜いた、事実をどうしても聞き出したかった。
「うぅっ……そ、それは……」
「どうなの? お母さんをオナペットにしてるの? してないの?」
 有無を言わせぬ詰問に、少し涙目になって勇介は答える。
「し、してるよ……してる。だって母さん、明け透けな性格だから、脱いだパンツとか平気で放っておくし、いつも下着姿でうろちょろしてるから……つい」
 派手な下着で家の中を闊歩する夏樹の姿が目に浮かぶようだ。
 もちろん、全ては勇介の視線を意識した上での行動だろう。
 実の母親とはいえ、夏樹ほどの美女に熟れた肉体をひけらかされたら、思春期の息子などひとたまりもない。
「お母さんのこと、一人の女性として好きなのね」
「……」
 無言のままこくりと頷く勇介に、子宮の奥がきゅんと疼いた。
(達也も勇くんみたいに私を気にしてくれているのかしら? それとも夏樹さん、すごく色っぽいから、私のことなんか忘れて簡単に……そ、そんなの絶対にいやっ!)
 こんなにも勇介に想われているのに、今まさに達也を誘惑しているであろう夏樹に、美雪は心の中で激しく嫉妬した。
「わかったわ。いじめてごめんね。もちろん夏樹さんは勇くんのお母さんですもの。大切に想わなくちゃ駄目よ。大人になるまで、勇くんがエッチなこと出来るのは夏樹さんと私だけ。ちゃんと約束して。そうしたらパンツくらい幾らでもあげるから」
「するよ、約束するから……だから、ちゃんと最後までしてよぅ……」
「ごめん、ごめん。男の子は途中でやめられると辛いのよね。ちょっと待ってね、すぐにまた気持ちよくしてあげるからね。ほら、おちんちんまだちゃんと硬いよ。手でしこしこってしたら、すぐにどぴゅってなるよ」
 赤ん坊をあやすように言うと、美雪は再び勇介のペニスを握り直して、優しくピストン運動を再開した。
 人差し指と中指で根元をきゅっと締め付け、そのまま先端に向けて勢いよくしごき上げれば、尿道口から先走りの汁が飛沫をあげて飛び散り、反対に包皮を一気に剥き下ろせば、亀頭の筋はぴんと張り詰め、充血した肉李が真ん中からぱっくりと割れる。
 そのサイクルをリズミカルに繰り返すうち、あっと言う間に勇介の腰は砕けて、射精の脈動にひくひくと痙攣を始めた。
「はあぁっ……ま、またよくなってきた。こ、こんなに早く……美雪さん、手でするのすごく上手だね」
「お褒めに預かりまして光栄ですわ……なんてね。ここのところご無沙汰だけど、これでも一応は人妻なんだからね。勇くんの童貞おちんちんいじめるくらい簡単よ」
 美雪は片手でペニスをしごき上げつつ、やんわり睾丸を弄ぶ。
 さらには鈴口を舌で何度も舐め上げ、舌の表と裏を使って亀頭の回りをぐるぐる周回しながら嬲りまくる。
 若い頃、半ば無理やり夫に仕込まれたフェラテクを全開にして、勇介のペニスに襲い掛かった。
「あっ、あへえぇっ……み、美雪さん! それ……凄すぎだよ! んっ、んはぁっ……そんな凄いテク使われたら、僕……ぼく、もう……で、射精ちゃうよぅっ!!」
 性体験が無いにしては、ここまでよく我慢したと言えるだろう。
 しかし、所詮は童貞少年である。
 アンダースコートの汚れたクロッチを噛み締めたまま勇介はぶるぶると腰を震わせ、美雪の手の中であっさり射精した。
「きゃっ! で、射精てるっ! これが若い子の射精なのね!? なんて勢いなの! す、凄いわ……まるで破裂した水道管みたいよ!!」
 指の腹で圧迫した肉茎が急に太くなったかと思うと、ひときわ大きく亀頭は膨張し、先端の割れ目からバター色の粘液を高々と噴き上げた。
 勇介の腰がビクンッ、ビクンッと震えるたびに、肛門括約筋の収縮に呼応して次々と射精される白濁液は、ワンボックスカーの高いルーフに軽々と届く勢いだ。
 頭を下げていた美雪は、鼻先で爆発する精の迸りに驚いたのも束の間、放物線を描いて降り注ぐ勇介の白い生命を顔で受け止める羽目になった。
「あ、熱いっ……勇くんの精液……とても熱いわ」
 未だ女を知らない少年を自らの手で射精へと導き、抜き取った青臭い生殖液で顔を焼かれる。これ以上背徳的な行為もないだろう。
 美雪は鼻を突く若草の匂いに咽せながら、まだ精を吐き出し続けている肉茎を自然と口に含んで慰めていた。
(んっ……んっ……んっ……ゆ、勇くんの精液ったら……なんて濃いのかしら。若い子の精液ってこんなもどろっとして、匂いもきつくて、鼻が曲がりそう……)
 口腔にぴゅるぴゅると力なく吐射されるスペルマは、コンデンスミルクのように強い粘り気を帯び、強烈な青臭さを放っていた。
 鼻の奥はつんと痺れ、眉間にちりちりと微電流が走る。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
 一方、射精の余韻に勇介はぐったりとシートに身を埋めてヒクヒクと腰を痙攣させ、やがて呼吸が苦しくなったのか、アンダースコートを鼻に押し当てていた右手をシートの上へと投げ出した。
 情事の後の気だるい沈黙の中、美雪は勇介のペニスを唇と舌とで優しく労わるが、溜まっていた欲望をすっかり吐き出したペニスは力を失って急速に萎んでいく。
 それがとても悲しくて、美雪は今一度奮い立たせようとペニスをすっぽり根元まで咥え込み、懸命にしゃぶった。
「美雪さんが……フェラチオしてくれてる……」
 勇介は呆然と呟き、虚ろな瞳で見下ろしてくる。
 フェラチオなどという言葉をもう知っているのか、と美雪は少し呆れつつ、唇を軽く窄めてペニスの根元を締め付けた。
 舌の上で亀頭を転がし、時折、強く吸って尿道に残った精液の最後の雫を飲み下す。
「む、無理だよ、美雪さん。お、俺……そんなに何度も出せるほど精力ないから」
 それは嘘だと思った。精通を終えたばかりの十四歳など、一生の内で一番元気な時期ではないか。
「もう一度……ね、もう一度だけでいいから、熱いのをちょうだい。今度は私の口に射精していいから。勇くんの苦くて濃いミルクをちゃんと味わいたいの」
 美雪は渾身の力でフェラチオを続けながら必死に哀願した。
 このままでは蛇の生殺しと一緒だった。
 それが通じたのかはわからないが、微かな勃起の兆候を唇に感じた。
 しめたとばかりに亀頭の裏に伸びる筋を舌先で繰り返し弾くと、洋介の腰はびくんっと強く痙攣し、柔らかかったペニスに少しずつ芯が通って行く。
 こんなに嬉しい瞬間を、美雪は近頃、味わった憶えが無かった。
「あぁっ……そ、そこは駄目だよ、美雪さん! そんなに弾いたら、先っぽ取れちゃうっ! うぅっ……嘘だ……射精したばかりなのに……お、俺もう……」
 くすぐったそうに腰を震わせ、勇介は呻いた。
 その言葉とは裏腹にペニスはびんびんと力強く脈動し、確実に勃起していく。
 唇で圧迫を加え、充分に硬くなったのを確認してから、美雪はペニスを吐き出した。
「精力無いだなんて言って、もうこんなに元気になってるよ。射精する前より硬いくらい。若いって素敵なことね」
 にっこり微笑んで美雪は再びペニスを咥え直す。
 喉の奥まで使って亀頭を呑み込み、舌を絡めて精一杯の奉仕をする。
「み、美雪さんのお陰だよ。美雪さんが……優しく舐めてくれたから。うっ、美雪さんの口の中……ほ、本物のおまんこみたいだ。内臓まで吸い出されそう……この分なら……あうぅっ……また、すぐに射精せると思うよ」
 心強い言葉に勇気付けられ、美雪は頭をゆっくりと上下動させて、今や完全に勃起したペニスの根元から亀頭までを丹念に嬲る。
 すると突然、勇介の手が下半身へと伸びて来て、プリーツスコートの中に滑り込んだ。
「うっ! ううんっ!!」
 股間に走ったくすぐったい性感に、美雪はペニスを咥えたままくぐもった呻き声を漏らし、ぶるりと腰を震わせる。
「こ、これが美雪さんのおまんこの感触なんだ……ぷにぷにしてて……なんか可愛いな。そ、それに……濡れてすごく熱くなってる」
 勇介はスコートの中を手探りし、クロッチの膨らみを指先で撫でた。
 力加減がわからないのか、指使いは少しばかり乱暴で、愛液に濡れてべっとりと恥丘に貼り付いたクロッチ越しに、勃起したクリトリスを荒々しく引っ掻いてきた。
(そ、そこは……女の一番弱いところよ! もっと優しくしてくれなきゃ駄目っ!)
 クリトリスを弾かれるたび、腰の中心に電撃が走り、頭の中は真っ白になる。
 けれども美雪は、フェラチオを中断して勇介を窘める気にはならなかった。
 勇介のペニスの味わいが、あまりにも素晴らしかったからだ。
 それは少年の物とは思えないくらい逞しく勃起し、口内でバナナのように反り返っていた。
 美雪が唯一知っている夫の物に較べて、ゆうに三センチほども長く、あまり深く咥え込むと喉の奥に亀頭が突き刺さって嘔吐しそうになる。
 もちろん硬さも段違いで、まるで焼けた鉄の棒を咥えているみたいだった。
(勇くんのおちんちんったら、なんて硬いのかしら。一回抜いてあげたばかりなのに、こんなにおっきくして……この硬いおちんちんでお腹の中をガンガン突かれたら、きっと子宮の壁が壊れちゃう)
 太い根元はどくどくと脈打ち、膨らんだ亀頭の先からしょっぱいカウパー腺液がとろとろと垂れ流される。
 濃厚な粘液は舌先でどんなに舐め取ってもきりがなく、塩気によって分泌された多量の唾液と混ぜて飲み下すために、美雪は早くも満腹感を感じ始めていた。
(勇くんはとても濡れやすいのね。すごいカウパーの量。この分だと苦いミルクもたっぷりと飲ませてくれそう)
 先ほど目の当たりにした爆発的な射精を、今度は喉の奥で直接受け止められる。
 そう考えると興奮で頭がくらくらした。カウパー腺液の生臭い匂いは鼻の奥から脳天へと立ち上り、思考は徐々に混濁していく。
 一刻も早く射精して欲しい。その思いから、美雪は亀頭の真中に傷口のように刻まれた鈴口を割り、つるつるした尿道の粘膜を舌先でくすぐって射精を促した。
「あっ! あっ! 美雪さんの舌が先っぽから入ってくる! おしっこの穴、汚いから……そ、それは無理だって! そんなに広げたら、ちんちん裂けちゃうよう!!」
 余りに刺激が強過ぎたのか、勇介は思わず腰を引いて逃げようとする。
(駄目よ、勇くん。ちゃんと射精するまで逃がさないわ)
 美雪はしっかりと勇介の腰を抱き締め、ペニスの根元を指で掴むと思い切り亀頭を吸い上げた。
「ふぐぅっ! す、吸い出されるぅっ!!」
 断末魔の悲鳴を挙げて勇介の身体はびくりと震える。
 少しずつペニスの根元は膨らみ始め、飲み下すカウパー腺液の苦味が増していく。
「今度は僕一人じゃいやだよ。美雪さんも一緒じゃなきゃいやだ」
 二度目の射精を悟ったのか、勇介はクロッチを強引にずらして、ショーツの中へと中指をねじ込んだ。
 恥毛の草むらを掻き分け、手探りで膣の裂け目を見つけ出すと、勇介の中指は迷うことなく肉唇を割って美雪の胎内へと侵入してきた。
「ぐっ!……」
 くぐもった呻き声を挙げて、美雪の動きが止まる。
 胎内深くまで一気に膣を食い破られ、ぬるりという身の毛もよだつ感触に軽く嘔吐いた。
 幸いたっぷりと濡れていたために痛みは無く、それどころか、根元まで遠慮無しに突っ込まれた中指が乱暴に抜き差しされるたび、内臓の溶け出すような快感が身体の芯を貫いて脳天にまで達した。
(お腹の中を掻き回さないで! 私の方が先にイっちゃう!!)
 半ば白目を剥いて快感に耐える美雪は、勇介のペニスを噛み切ってしまうので歯を食い縛ることも出来ず、ただ全身を戦慄かせるばかりだった。
「こ、これが美雪さんのおまんこの中なんだ。指一本でもきつきつだ。熱くてぬるぬるしてて、中の壁に生えたでこぼこが指に吸いついてくる。こんなとこに入れたら、俺、すぐに射精ちゃうよ」
 指先で膣ひだをなぞりながら、勇介は感嘆の溜息を漏らす。
 異物を挿入されるのは久しぶりなせいか、幾分、膣が狭くなっている気がした。
「ねえ、美雪さん。俺、初めての相手は美雪さんが良い。今度、セックスさせてよ」
 体育会系らしいストレートな告白に、美雪はずるりとペニスを吐き出して答える。
「いいよ。勇くんの童貞、私にちょうだい。今度、二人でセックスしよう」
 美雪は勇介にしなだれかかり、精一杯の愛情を込めてキスをした。
 唾液とカウパー腺液で唇も顎もべたべただったが、もうそんなことを気にするような間柄では無くなっていた。
 たっぷり舌を絡ませて、お互いの唾液を交換する。
 勇介のぎこちない舌使いが美雪には愛しく仕方なかった。
「さあ、私に勇くんのミルクを飲ませて。もうおちんちんの準備も出来てるでしょ。ほら、びくびく震えて、射精したい、射精したいって言ってるよ」
 勇介のペニスは亀頭を真っ赤に充血させ、触れてもいないのに雁首を上下に揺らして、苦しげに呻いていた。
 薄白い精液混じりのカウパー腺液が、鈴口から溢れて膨らんだペニスの腹を滴り落ちていく。
「う、うん、俺……もう我慢できない。このまま美雪さんの口に射精したい。でも、美雪さんはどう? 俺、下手くそだから、ぜんぜん気持良くなれないんじゃない?」
「初めてなんだから仕方ないわ。今度、ちゃんと教えてあげるから、今は好きなようにして。それに、ほんと言うとね、私ももう少しでイキそうなの。だから……頑張って」
 そう言い残して美雪は再びペニスを咥えた。
 もう勇介が射精するまで口を離すつもりはなかった。
「あぁっ……美雪さん、美雪さん……」
 切なげに美雪の名前を呼ぶ勇介も膣に挿入する指を二本へと増やし、親指でクリトリスを弄くっては、不器用ながらも快感を与えようと懸命に愛撫してくる。
(はふうぅっ! 勇くんったら、さっきより上手くなってる。さすがはスポーツマン、覚えが良いわ。私、負けちゃいそう……)
 腰の中心で暖かい風が渦を巻いて吹き荒れる。うなじは急速に熱くなり、膣とアヌスがきつく収縮して、ひくひくと痙攣するのがわかった。
(い、いけない……私、本気でイキそうになってる。子供に指だけでイカされるなんて……なんだか口惜しい。一哉さん、貴方がいけないのよ、貴方が抱いてくれないから、私……こんなにいやらしい身体になってしまったんだわ)
 夫とのセックスでもオルガスムスに達することはほとんどないというのに、勇介の拙い指使いで、美雪は確かにアクメを迎えようとしていた。
 大人の女性として、子を持つ母として、少年より先に果てるわけにはいかない。
 美雪は唇をこれでもかと窄めて圧迫を加えると、ペニスを咥えたまま忙しなく頭を上下動させる。
 そうしながら、舌先で繰り返し亀頭を舐め上げ、時に包皮の筋を左右に弾く。
 じゅぷじゅぷといやらしい音が車内に鳴り響き、溢れた唾液が飛び散って勇介の下腹をしとどに濡らした。
「そ、そんなに激しくしたら、俺……俺っ、もうっ……!」
 一足早く、未熟な勇介の肉体が悲鳴をあげた。
 一度目の射精の時より亀頭はさらに大きく膨張し、ペニスは射精直前の最大勃起を迎えて、狭い口内で跳ね回る。
 勇介の限界を察知した美雪は頭を下げ、ペニスを根元まで咥えて喉の粘膜を亀頭に擦りつけた。
(あぁっ……イクんだわ! 達也が私の口に射精してくれるの。いいのよ、達也……ママの口にいっぱい射精してちょうだい……)
 恍惚の表情で射精する勇介の姿は、意識朦朧となった美雪の目に達也の姿となって映っていた。
 次の瞬間、錐の一突きにも似た鋭い射精の一撃が喉を刺し貫く。
 まるで、どろりとした粘っこい精液を直接心臓に浴びせられたようだった。
 余りの多さに飲み下すのが間に合わず、喉から溢れた精液は鼻腔へと逆流して、片方の鼻から飛び出した。
(うぉえっ!……)
 粘膜を焼かれる痛みと鼻の奥に充満する強烈な青臭さに、噎せ返った美雪は危うくペニスに歯を立てそうになった。
 しかし、皮肉にもその刺激がアクメ寸前の脳髄に最後の一太刀を加えた。
 混濁した意識は肉体のコントロールを失い、子宮の奥底から突き上げてくるオルガスムスの奔流に容易に押し流されてしまう。
(い、イクッ! イクッ! 私……いっぐぅぅッ!!)
 頭の中で連呼しながら、美雪は感電した蛙のようにびくびくと全身を痙攣させた。
 きつく閉じた瞼の奥で眼球がぐるりとひっくり返る。
 思わず失禁しそうな心地良い痺れは、神経という神経を焼き尽くしながら身体の隅々まで広がってゆき、背骨の蕩けるような幸福感に包まれて、美雪は眩い光の降り注ぐ雲一つ無い蒼穹へと舞い上がった。
(わ、私……空を飛んでるの?)
 ふわりと身体は宙に浮き、おちつかない浮遊感に精液で満たされた胃袋が締め付けられる。
 そうして上も下も無い無重力状態を味わったのも束の間、今度は背中の翼がもげたように、真ッ逆さまに奈落の底へと落ちて行く。
 巨大な黒い穴に吸い込まれる圧倒的な墜落感。そして、
(達也……愛してるわ)
 オルガスムスの果てに見えた達也の笑顔に優しく囁きかけ、美雪の意識はぷつりと途切れた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
 荒い息を吐く勇介の股間に顔を突っ伏し、鼻と口から精液を垂れ流した美雪は、穏やかな微笑を浮かべて失神していた。
 ついさきほどまで千切れんばかりに緊張していた膣肉はすっかり緩み、紅い肉の門からふやけ切った勇介の指と泡立った愛液がどろりと吐き出されて、長く透明な糸を引いた。

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