義母志願

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第一章

(はあ……今週もやっと終わった)
 佑介は心の中で溜め息をついた。
 帰宅途中の電車の中、佑介は吊り皮にもたれるようにして立っていた。
 車内は比較的に空いていたが、次の駅で大勢の客が雪崩れ込んでくる事はいつもの経験から分かっていた。
(美貴さんには振られるし、芹沢課長には怒られるし、良い事ないなぁ)
 このところ、佑介は同じ愚痴をくり返していた。そして、愚痴りながら、会社の先輩で、かつての恋人である坂上美貴との最後の夜を思い出していた。

「祐くん……すごく強くなったね。前だったら今頃とっくに終わっちゃってたのにね」
 そう言いながら、佑介の上に跨った美貴は腰を激しく前後に振った。
 美貴は佑介より二歳年上の二十七歳。猫のような少しきつめの目をした美人で、性格も極めて積極的だった。
 美貴は入社したての佑介に目をつけ、研修が終わる頃には佑介の童貞を奪っていた。
「ほら、もっと腰を使って、奥までしっかり突いて!」
 股間をこすり付けるように腰を揺すりながら、美貴はぴしゃりと佑介の胸板を叩く。
「うっ……うぅ……」
 ジム通いを日課にしている美貴の身体はかなり筋肉質で、膣肉の締まりも強烈だった。
 佑介は絡みつく肉壷の締め付けと蕩けるような粘膜のぬめり具合に呻き声を挙げる。
 こみ上げる射精感を奥歯で噛み殺し、幾度もセックスを重ねて教えられた通りに、腰で激しく8の字を描きながら、亀頭を膣奥へと突き立てた。
「ひぃっ!!」
 胎道を貫いた亀頭に膣奥をえぐられ、子宮内にごつごつと響くバイブレーションに、今度は美貴が悲鳴を上げた。
 亀頭が膣奥に突き当たるたび、美貴の括約筋はきゅんときつく収縮し、内壁に生える無数の触手が総立ちになって一斉に吸い付いてくる。
 力づくで吸い出されるような強烈な射精感に、痺れて腰の感覚がすっかり失われていた。 「み、美貴さん。もう駄目……僕、出ちゃうよ!」
「いいよ、祐君。そのまま中に出して! 私も……私もすぐにイクからっ!」
 叫びと同時に美貴はオルガスムスに達し、全身をガクガクと痙攣させながら眉間に皺を寄せて快感に耐える。
 その後を追うように、佑介は美貴の胎内にありったけの精を解き放った。
「ああぁっ! 美貴さんの中が! 中が締まるぅっ!! うっ!!……」
   射精の脈動に腰が跳ね上がり、脳の砕けるような快感と共に、煮えたぎった精液が子宮口に幾度と無く叩き付けられる。
 目も眩む射精の悦びに、しばし恍惚の境地を彷徨う佑介だったが、その後、美貴から別れ話を切り出されるとは夢にも思わなかった。

 電車が次の駅に停車し、大勢の乗客が車内にどっと雪崩れ込んでくる。
 人波に流され、一気に反対のドアまで押し遣られて、佑介はふと我に返った。
 ドアの前には一人の女性がこちらに背を向けて立っていた。このままでは彼女を押しつぶしてしまう。
 そう思った佑介はとっさに片手をドアに突くが、我も我もと乗り込んでくる乗客達に腕一本では抗えず、佑介と女性の身体はゆっくりと接近し、やがて密着した。
 なるべく圧力をかけまいと踏ん張ってはみたが、女性の背中から伝わる温もりと柔らかな感触、そして、うなじから立ち昇る香水混じりの甘い体臭に全身の力が抜けていく。
 電車が走り出すと、車内は揺れ、その度に二人の身体は強く密着した。
 身長差のせいで、女性の尻に佑介の腿が食い込む。
 その心地よい弾力に刺激されて、佑介のペニスはゆっくりと硬さを増していった。
(やばいなぁ。痴漢と間違われちゃうよ)
 そう思った瞬間、佑介はハッとした。
 気がつけば、ガラスの反射越しに女性がこちらを見つめていた。
 ガラスに写った女性は見ているこちらが恥ずかしくなるほどの美人で、動揺した佑介にはその目が、あたかも自分を非難しているように見えた。
(落ちつかなきゃっ……落ちつかなきゃっ……)  焦れば焦るほどペニスは力強く勃起していき、ついには女性の柔らかい腰にぎゅうぎゅう押しつけられていた。
「ご、ごめんなさい……」
 制御不能の状況に、佑介は思わず小声で謝ってしまった。
 それから一瞬の間があって……、
「いいのよ……気にしないで」
 女性は微かに微笑んでくれた。
 その笑顔に佑介がほっと胸をなで下ろした時、電車は駅に到着し、目の前のドアが開いた。
 降りようとする乗客達に押されて、佑介と女性は重なったままホームに吐き出される。
 すると、人波に流され、ふらつく佑介の腕を女性の手がしっかりと掴み、人ごみから連れ出してくれた。

「あ、あの……さっきは本当にすいませんでした」
 電車が走り去り、人もまばらになったホームで佑介は深々と頭を下げた。
「本当に気にしなくて良いのよ。満員電車には慣れてるし。ただ、ちょっと驚いただけ。私みたいなおばさん相手に、硬くしてくれるなんて思わなかったから」
 そう言って微笑む女性だったが、佑介の目には年上の奇麗なお姉さんにしか見えなかった。
 ひっつめられた黒髪と控えめな化粧が凛とした清潔さを感じさせた。
 ダークグリーンのスーツを完璧に着こなし、その胸元はスーツの上からでもはっきりとわかるほど膨らんでいた。
「お、おばさんになんか全然見えませんよ。とてもお綺麗です」
 思った通りに言う佑介の視線は、タイトスカートから伸びる、極薄のパンティーストッキングに包まれたふくらはぎに釘付けだった。
「フフフッ、どうもありがとう。あなたみたいな若い人にそう言ってもらえると、嘘でも嬉しいわ」
「う、嘘なんかでは……」
「ええ、わかってるわ。あなたは口先だけのお世辞なんて言わない人だもの。ね、神崎君」
「えっ!……な、何で僕の名前を知ってるんですか?」
 見知らぬ女性にいきなり自分の名を呼ばれて、佑介は動揺した。
「さあ、どうしてかしらね。そのあたりのことも含めて、何処かで食事でもしながら、ゆっくりと話さない?」
 女性の浮かべた妖艶な微笑に、佑介は頭に浮かんだ疑問と警戒を一瞬で忘れ去った。

 佑介が女性に連れて行かれたのは、高級ホテルの最上階にあるレストランだった。
 食事にほとんど気を使わない佑介にとっては一生縁の無い筈の場所で、窓際の席に座った佑介は慣れないレストランの雰囲気に完全に怯えていた。
「あ、あの……ぼ、僕、お金下ろしてきます」
「いいのよ。私が誘ったんだから、お代は全部私が持つわ」
「そ、それは……その……ご馳走様です」
「フフフッ、どういたしまして。じゃあ、さっそく自己紹介させてもらうわね。私の名前は芹沢美子。いきなり誘ってしまってごめんなさい」
「芹沢……さん?」
 聞きなれた名前に佑介は混乱した。佑介の知っている芹沢と言えばただ一人。会社の上司で、今日も怒鳴られたばかりの芹沢直樹だけでだった。
 芹沢は社内でも評判のやり手で、仕事に関しては恐ろしく厳しい。がしかし、プライベートでは気さくな人柄らしく、かねてから社の内外で愛人を囲っているとの噂が流れていた。
 その噂の真相を、佑介は坂上美貴の口から聞かされた。 (私、芹沢課長と付き合ってるの)  佑介はただ振られたのではなく、二股をかけられた上に芹沢に寝取られたのである。
 いやなことを思い出して、胸の奥がささくれ立った。
「もしかして……芹沢課長の奥様ですか?」
「正確には元奥様。だから本当は音無美子です」
 そう言って美子は小さく御辞儀をした。
「私達、二ヶ月前に離婚したのよ。知らなかったみたいね」
 離婚という事実と二ヶ月前という数字に佑介は愕然とした。
 美貴が佑介に別れ話を切り出したのがちょうど二ヶ月くらい前だったからだ。
 色恋沙汰に疎い佑介にも事情は飲み込めた。二股をかけていた美貴は芹沢の離婚を知り、愛人の一人から脱却する為に佑介を振ったのだ。
「どうして……離婚なさったんですか?」
「芹沢の愛人の噂、神崎君も聞いた事があるんじゃないかしら?」
「はぁ……少しは」
「芹沢は昔からすごくモテたの。仕事は出来るし、女の扱いも上手だから。私と結婚した後も愛人が増えたり減ったりしたけれど、一人もいなかった時期は無かったんじゃないかしら。まあ、夫として、モテない男よりはモテる男の方が良いのかなって最初は思っていたんだけど、娘が産まれてからはやっぱり私と娘だけを見ていて欲しいって思い始めてしまったの。でも、芹沢のああいう性格は全く変わらなかった。だから、別れたの」
 明るく話す美子だったが、その言葉の裏には微かな自嘲が感じられた。
 佑介は自分の恋人を奪った芹沢を、そして目の前に座る美しい女性を裏切り続けた芹沢を許せなかった。
「すっかり黙らせてしまったわね。嫌な話を聞かせてしまってごめんなさい」
「い、いえ、僕こそ立ち入った事をお聞きしてすいません。で、僕の事は課長からお聞きになったんでしょうけど、良く僕の顔が分かりましたね」
 重くなりかかった雰囲気を変えるように佑介は明るく話した。
「社員旅行の時の写真を見せてもらったの。芹沢はいつも神崎君の事を誉めていたのよ」
「嘘ですよね?入社して以来、課長からは怒鳴られた記憶しかないんですけど……」
「芹沢が良く言ってた事だけど、部下には誉めて伸ばす奴と叩いて伸ばす奴の2種類いるそうよ。あなたは叩いて伸ばす方だったみたいね。でも本当にあなたの事を買っていたのよ。あの芹沢が余り誉めるものだからどんな子なんだろうって興味を持ち始めて、写真を見せて貰って一目で気に入ってしまったわ」
 美子はうっとりとした表情で佑介を見つめた。
「ど……どうも……」
 佑介にはそう答えるのが精一杯だった。
「だから、今日、ガラスの反射越しにあなたと目が合って本当に驚いたわ。まさか本人に会えるなんて思っていなかったから。それに本当に嬉しかった。私の腰にあなたの硬いものが押し付けられて、ドクドク脈打ってるのが服の上からでも良くわかったわ。私の身体で感じてくれたのよね? 私の身体はどうだった?」
 優しく見つめる美子の視線に耐えられず、佑介は目を逸らす。流れる佑介の目線には薄く口紅の引かれた美子の艶めかしい唇、そして、スーツから零れ出さんばかりの膨らみが飛び込んでくる。佑介の鼓動は速まり、股間は急速に熱くなっていった。
(この女、僕を誘ってるんだ。正直に言えば、この女を抱けるかも知れない)
 甘い期待に誘われて、佑介は観念したように話し出す。
「す、すごく温かくて、柔らかくて、良い匂いがして、特に……お尻がももに当たって気持ち良くって……それで……」
 言いよどむ佑介の手に美子の手が優しく重ねられる。
「オチンチンが硬くなっちゃったのね?」
 美子の言葉に佑介は無言で頷いた。
「フフフッ、ありがとう。嬉しいわ。恥ずかしい事を言わせてごめんなさいね」
 美子は佑介の組まれた両手をそっと解きほぐし、指を絡める。
 美子の指は細くしなやかで、伝わってくる温もりに佑介の気持ちは高ぶった。
「でも、もっと気持ち良くなりたいと思わない?」
「へっ?」
 美子の言葉は佑介の期待していた通りの物だったが、いざ面と向かって言われると、さすがにドキッとした。
「いいえ、遠まわしな言い方は良くないわね。素直に言うわ。私を抱いて欲しいの。離婚したばかりなのに節操が無いと思われるかもしれないけれど。あなたの写真を見た時から、ずっとあなたに抱かれたかったの……」
 佑介の目を真剣に見つめる美子。
 美子の突然の告白に佑介は動揺していたが、もう目は逸らさなかった。

 浴室でシャワーを浴びながら美子は改めて自分の行動に驚いていた。
 美子が佑介と同じ電車に乗りあわせたのは全くの偶然だった。
 憧れていた元夫の部下に会う事ができて嬉しかったのは事実だったが、その時点では誘惑する気などまるで無かった。しかし、佑介の身体が背中に密着し、若い雄の匂いを嗅いだ瞬間から美子の身体は激しく疼き始めた。
 芹沢と別れてから既に二ヶ月が過ぎていた。
 美子はインテリアデザイナーとして自立していたし、芹沢が家を残して行ってくれたので、母娘二人で暮らすのに経済的には全く問題は無かった。本来なら芹沢から娘の養育費を受け取る事もできたのだが、美子はそれを断った。
 離婚した事に後悔など無かったが、夜、ベッドに一人で眠る事の寂しさを初めて思い知った。
 望めば相手など幾らでもいる筈だった。事実、美子の実家を通して再婚の誘いが山ほどきていたが、美子は全て断ってしまった。美子にはまだ再婚など考えられなかった。
 インターネットの出会い系サイトで遊び相手を探そうとした事もあったが、やはり自分の好きな相手でなければ身体を許す事など出来そうもなく、じきに諦めてしまった。それからというもの、美子は芹沢が残していった一枚の写真を見ながら、自分を慰める事が多くなっていった。その写真は芹沢の会社の社員旅行の時のもので、芹沢と一緒に一人の青年が写っていた。美子はその写真から芹沢の写っている部分を切り捨て、青年だけが写っている写真を見つめては自分を慰めた。美子はその青年と面識があったわけではなかったが、仕事に関しては厳しかった芹沢がその青年を誉めるのを幾度となく聞かされたせいで、好印象を持っていた。そして、初めて写真を見せられた時以来、その若く、真面目そうな青年は美子の心に住み着いて離れなくなった。
 その青年に背後から硬く勃起したペニスを腰に押しつけられ、熱くなっていく身体に身悶えしながら、背後に立つ青年を自分の物にしたいと美子ははっきりと思ったのだった。
 浴室から出た美子は脱衣所に置かれた鏡に映る自分の身体を眺めてみた。
 今年で三十四歳になった美子の身体は子供を一人産んだとは思えない見事なプロポーションを保っていた。
 全身を包む滑らかな肌はあくまで白く、豊かな乳房は程好く張り、上を向いていた。 折れそうなほど細い腰に腹筋で締まったお腹。量感たっぷりのお尻はは柔らかな筋肉でしっかりと持ち上げられていた。
(悪くは……ないわよね?)
 美子はプロポーションにある程度自信を持っていたが、相手は九歳も年下である。やはり心配だった。本当は佑介を徹底的に誘惑して、佑介の方から求めさせるつもりだったが、性格的に本音を隠す事が出来ず、結局は素直に告白してしまった。
 そのせいもあって、年長者の沽券にかけても佑介を失望させたくはなかった。
(考えても仕方がないわね)
 美子は気を取り直してバスローブを着る。帯は緩めに締め、胸元を少し開き気味にしてリビングへと向かった。
 リビングではバスローブを着た佑介が窓際の椅子に不安そうに座っていたが、美子の存在に気づくとさっと立ち上がり、軽く会釈した。
 その様子が余りにサラリーマンらしかったので美子は少し笑ってしまった。
「先に飲んでいれば良かったのに」
 美子はルームサービスで頼んだワインをアイスピッチャーから引き抜き、コルクを抜こうとした。
「あ、僕がやります」
 佑介が慌てて駆け寄る。
 ぎこちない手つきでワインのコルクを抜く佑介。その姿は明らかに初めてという感じだった。
 そんな佑介を微笑ましそうに見つめながら美子は食事中の事を思い出した。
 佑介は食事の最中、最初にグラスに注がれたシャンパンを最後まで飲み干せなかった。
(この子、お酒が苦手なのね)
 美子は心の中でほくそ笑んだ。
「お酒苦手みたいね」
「え、あ……そんな事は……」
 やっとの事でコルクを抜く事に成功し、ワインを美子のグラスに注ぐ佑介だったが、美子に図星を突かれ、動揺した。
「恥ずかしい事じゃないわ。でも少しくらいは飲めた方が良いわよね。私、良い方法を知ってるわ。いらっしゃい」
 美子は佑介のグラスを逆さにしてテーブルに置くと、自分のグラスを片手に佑介の手を引いてベッドに移動した。

「私の隣に座って」
 佑介は言われるままに美子の隣に座った。
 美子の身体からは石鹸の匂いが淡く漂い、意図的に開かれたバスローブの胸元からはボリュームのある二つの膨らみが深い谷間を覗かせていた。
「あの……まさか……」
 佑介の胸に期待が広がる。
「そう。私が口で飲ませてあげるわ」
 妖艶な笑顔と共にグラスに注がれたワインを口に含んだ美子は両手で佑介の頬を優しく包み、そっと口付ける。
「ん……」
 美子の柔らかな唇の感触に佑介がビクンと身体を震わせた直後、美子の口内で暖められたワインが佑介の口内に流れ込んできた。
 美子の唾液がたっぷりと混じったワインはこの上なく甘く、佑介は夢中で飲み干していく。二人の唇から漏れたワインが佑介の白いバスローブに赤い染みを作った。
 口に含んだワインを全て佑介の口内に注いだ美子はそのままゆっくりと舌を挿入していく。予想外の事に再び身体をビクンと震わせる佑介だったが、挿入された美子の舌におずおずと自分の舌を絡めていく。
 佑介の舌を弄ぶように絡められる美子のしっとりと潤った舌は熱く、その舌を伝って佑介の口に流れ込む美子の唾液は更に熱く、そして、甘美だった。
 汗をかいた美子の身体が発するほのかに石鹸の匂いが混じった体臭。
 美子の唇と舌から伝わる温もりと感触。
 そして、美子の唾液の味。
 それらがもたらす身も蕩けるような快感が佑介の脳を痺れさせる。
 美子は母鳥に食べ物をねだる小鳥のように懸命に自分の唇を求める佑介が愛しくて仕方がなかった。同時に、口付けだけで九歳も年下の男を完全に翻弄している喜びに全身を震わせていた。
 室内には粘膜が擦れ合う卑猥な音だけが静かに響いていた。
 美子が舌をゆっくりと引き抜くと二人の唇の間に透明の糸が引いて消えた。
 目をとろんとさせている佑介を見て、美子はクスッと笑った。
「少し刺激が強かったみたいね。オチンチンもこんなに硬くしちゃって」
美子は突き破らんばかりにバスローブを突き上げている佑介のペニスをバスローブの上からそっと握った。更にペニスの先端が触れていると思われる布地にできた小さな染みに指で触れる。ぬるっという感触と共に湿った布地から粘液が染み出し、美子の指先に付着する。
「フフフッ、先っぽはもうぬるぬるね」
 美子はそう言いながら、一人差し指と親指でバスローブ越しにペニスの先端を揉みほぐす。
「ううっ……」
 切なげな表情で呻き、全身をブルブルと震わせる佑介。
 ペニスの先端がバスローブと擦れ、刺さるような鋭い快感がペニスから全身へと突き抜けていく。
「あんまり苛めると射精てしまいそうね。良いわ、始めましょう」
 美子はベッドから腰を上げると佑介の前に立った。
「さあ、立って。あなたの手で脱がせて欲しいの」
 美子に促されて佑介はゆっくりと立ち上がる。
「音無さん……」
「美子って呼んで。その代わり、私も佑介君って呼んでも良いかしら?」
「も、もちろんです。美子さん」
「ありがとう佑介君。さあ、脱がせてちょうだい」
 美子は佑介の両手首を優しく掴むと、自らの着るバスローブの襟首の中へと導いた。 手の平に伝わる美子のきゃしゃな両肩、そして、細い首の感触に佑介は息を呑む。
 美子は静かに瞼を閉じ、佑介が脱がせやすいようにそっと両肩をすぼめた。
 佑介はバスローブの襟を開き、ゆっくりと引き降ろしていく。
 バスローブが美子の両肩から滑り落ち、透けるような白い肌が露になった。
 佑介の両手は美子の首、肩、腕を順番に撫でながら、バスローブを確実に剥ぎ取っていった。
(す、すごい。美子さんの肌、スベスベだ! それに、指先に吸い付いてくる! )
 心の中で感嘆の声を上げる佑介の目の前で豊満な二つの乳房が弾けるように零れ出した。その表面はしっかりと張りを保ち、淡い色の乳首は硬く膨らみ、上を向いていた。佑介は美子の乳房にしゃぶり付きたいという気持ちを押さえるのに必死だった。
 佑介の両手が美子の腰を過ぎると、佑介の手からバスローブが離れ、ストンと落ちた。美子の逆三角形にカットされた恥毛が露になり、秘唇からは溢れた愛液が内ももを伝って、幾筋も流れ落ちていった。
 佑介の前で美子は全てを曝け出していた。
「もうだめです。僕、我慢できません!」
たまらず佑介は美子を抱きしめた。
「焦っては駄目よ。時間はたっぷりあるわ。ベッドでゆっくりと楽しみましょう」
 そう言って、美子は佑介をベッドへと誘った。

「佑介君のオチンチンもう限界みたいだから、一回射精しておきましょうね」
 美子は全裸でベッドに仰向けになっている佑介の硬く勃起したペニスを優しくしごきながら言った。ペニスの先端から流れ出した透明の粘液で美子の手はぬるぬるになり、射精が間近に迫っている事を伝えている。
 美子は佑介のペニスを一気に根元まで咥えた。
「よ、美子さん……ああっ」
 美子の口内のぬめっとした感触に佑介は思わず喘ぎ声を上げてしまった。
(フフフッ、女の子みたいな声出してちゃって、可愛いわね。もっともっと気持ち良くしてあげる)
 美子は佑介のペニスを柔らかく咥え、先端に舌を絡めながらリズミカルに頭を上下させる。ジュッジュッという音と共に佑介のペニスは美子の口に飲み込まれ、唾液を塗り込まれていく。
(我慢なんかしないでいつでもイッて良いのよ佑介君。あなたの若い精子を私に飲ませて)
 美子はピストン運動を猛然と速めていく。
 美子の濃厚な愛撫に佑介の腰がヒクヒクと痙攣を始める。
「ああっ、美子さんっ! そ、そんなにしたらっ……僕っ……出るッ!」
 直後、ペニスの先端から放たれた精液が美子の喉に突き刺さる。
 喉を焼かれるような感覚に襲われた瞬間、美子の身体を凄まじい快感が貫いた。
(う、嘘っ? 私、イクッ! )
 容赦なく注がれ続ける精液を必死に飲み下しながら、美子は全身をガクガクと震わてオルガスムスに達した。
 強烈な快感に気が遠くなる美子だったが、しっかり咥えた佑介のペニスを強く吸い、尿道に残る精液まで一滴残さず飲み下した。佑介のペニスを口から引き抜いた美子は鼻孔にこびりつく強烈な雄臭にうっとりしながら、佑介の上に崩れ落ちた。

「美子さん、すごく気持ちよかったです。それに、僕のを飲んでくれたんですね。ありがとうございます」
「佑介君のとっても美味しかったわ。あんまり美味しくて私もイッちゃったのよ。こんなの私も初めてだけど」
「ほ、ほんとですか!」
「本当よ。腰が抜けるかと思ったくらいだもの。でも随分溜まってたみたいね」
「え、ええ。このところ全然してなかったんで」
「あら意外ね。佑介君は年上にもてそうだから、いろんな女に可愛がられてると思ってたんだけど」
「いえ、僕なんか全然ですよ」
 否定する佑介だったが、美子の言葉はかなり当たっていた。
 佑介は社内でも女性から声をかけられる事が非常に多く、そのほとんどは年上の女性からだった。美貴と別れてからもその手の誘いはかなりあったが、美貴に対する未練から全て断ってしまっていた。
「美子さんの方こそ、引く手数多なんじゃないですか?」
「私みたいなおばんさんじゃ誰も相手になんかしてくれないわ。佑介君にはこんな形で無理矢理相手をさせてしまって申し訳ないんだけど」
「無理矢理だなんてとんでも無いです。僕、年上の女の人が好みなんです。美子さんみたいな綺麗な人とできるなんて夢みたいですよ」
 そう言う佑介の真剣な目に美子の胸はキュンとなった。
「ありがとう。私の方こそ佑介君にそんな事を言ってもらえるなんて本当に夢見たいよ」
 美子はほんの少し涙ぐんでしまう。そんな美子の姿に佑介はどうしようもない愛しさを覚えた。
「美子さん!」
 佑介は美子を抱きしめ、そのままベッドに押し倒した。
「来て、佑介君の好きにして良いのよ」
 美子は全身の力を抜き、佑介に身を任せる。
 佑介は美子の乳房に夢中でしゃぶりついた。硬くしこった乳首をきつく吸いながら、 右手を美子の秘唇へと這わせる。そして、軽く開いた美子のスリットに中指の腹を何度も擦り付けた。
「ああっ、佑介君。それ……いいわっ。もっと、もっと上まで来て」
 美子の求めに応じて佑介の指が美子の肥大した肉芽をとらえる。同時に佑介は口に含んだ乳首に軽く歯を立てた。
「あん!」
 鋭い刺激が上下から同時に美子を襲った。
 佑介は乳首を甘噛みしながら肉芽を捏ね回していく。
「す、すごいわ。そんな事、何処で覚えてきたの!」
 美子は佑介の愛撫に身体をビクンビクンと震わせた。
 佑介は尚も肉芽を愛撫しながら美子の脇の下に鼻を押し付け、深く息を吸った。
 じっとりと汗ばんだ美子の脇の下からはむせ返るような熱気と共に甘酸っぱい匂いが溢れ、佑介の肺を満たす。その強烈な匂いに佑介の頭はクラクラした。
「だ、だめよっ。そんなとこの匂いを嗅いじゃ駄目!」
 恥ずかしそうに身を捩る美子を佑介は優しく押え込む。
「美子さんの脇の下すごく良い匂いです。たまりませんよ」
 佑介は美子の脇の下を舐め上げ、綺麗に剃毛された脇の下のつるつるとした感触と舌先が痺れるような味覚をたっぷりと味わった。
「な、舐めちゃだめぇ!」
 初めて味わう快感と羞恥心に喘ぐ美子。
「美子さんの身体、とっても美味しいですよ。もっと味あわせてください」
 佑介は仰向けになっている美子の両脚を大きく開かせるとむちむちとした内ももに吸いつく。美子の肌から滲む汗を丁寧に舐め取りながら、ゆっくりと美子の秘唇に近づいていった。
「お願いよ佑介君! 私のオマンコ舐めてちょうだい! これ以上、焦らされたら私、頭がおかしくなっちゃう!」
 美子の悲鳴のような声を聞きながら佑介は愛液で光る美子の肉裂を舐め上げた。
「ああっ、そうよっ、そう! いっぱい舐めてちょうだい!」
 美子は腰をくねらして更なる愛撫をねだる。
 佑介は今にも破裂しそうな肉芽に舌を絡め強く吸った。
 美子の身体がビクンと跳ねる。
「ひぃっ! そ、そこっ、そんなに強くしたらっ、いっ……イクっ! イクっ!」
 美子は両脚を目一杯開き、大きく腰を突き上げると、全身をガクガクと揺らしながらオルガスムスに達した
 恍惚の表情で全身をヒクヒクと痙攣させる美子に佑介は優しく口付けた。
「ひどい子ね。私だけ先にイかせるなんて」
 美子はうっとりとした表情で言った。
「ごめんなさい。美子さんのオマンコ舐めてたら我慢できなくて」
「フフッ、まあいいわ。今度はこの硬いオチンチンでちゃんと可愛がってね。それにイク時は一緒よ」
 美子は反り返った佑介のペニスを撫でた。
「は、はい、美子さん」
「それで、佑介君はどんな格好で私としたい?」
「で、出来ればバックが良いんですが……」
「佑介君は後ろから私を犯したいのね。良いわ。思い切り私を犯してちょうだい」
 美子は四つん這いになり、佑介に向けてお尻を高く突き出した。
 淡いピンク色をした秘唇と茶褐色のアヌスが丸見えになった。
「さあ、いらっしゃい」
「美子さん!」
 佑介は美子のお尻を掴み、狙いを定めると、ペニスを美子の肉裂に一気に突き立てた。
 濡れた肉の壁を突き破るような、ヌルっという感触と共に佑介のペニスが美子の胎内に飲み込まれる。愛液でたっぷりと濡れた美子の膣肉はきつく締まり、無数の肉のひだが佑介のペニスにまとわりついてくる。その素晴らしい感触に佑介は恍惚となった。
「ああっ、いいわ。佑介君のオチンチン、しっかり膣奥まで届いてる」
「美子さんの膣も、気持ちよすぎます! ぼ、僕っ、出ちゃいそうです!」
 一度、美子の口に射精しているというのに、佑介のペニスには早くも二度目の射精が迫っていた。それを悟った佑介は美子の腰を掴むと猛然とピストン運動を開始する。「いいわ、佑介君! もっと、もっと強く突いて!」
 佑介のお腹と美子のお尻がぶつかり合い、パンッ,パンッ,パンッという小気味良い音が室内に響いた。
 膣肉とペニスが激しく擦れ合い、猛烈な射精感が佑介の腰を痺れさせていく。
「美子さんっ、ごめんなさい! 僕っ、僕っ、もう!」
「待って佑介君! もう少し、もう少しだけ頑張って!」
 佑介は美子の言葉に励まされ、必死で腰をピストン運動させる。
 美子も自ら激しく腰を動かし、絶頂への階段を駆け登っていく。
「ああっ、ち、近づいてきたわ! あっ、あんっ、あんっ、い、イキそうよ、イキそ、うっ! い、イクッ! 祐君……来て……わたし……イクッ! イクッ! イクぅぅぅッ!」
 美子の弓反りになった身体がガクガクと振れ始めた直後、佑介のペニスに脈動が始まった。尿道に焼けるような快感が走り、白濁した精液が美子の胎内に噴射される。
「ひぃぃ!」
 美子は膣奥に叩き付けられる熱い精液に子宮を焼かれ、悲鳴を上げながら白目を剥いて失神した。その後も佑介の腰はビクッビクッと痙攣を続け、ペニスから絞り出された精液はグッタリした美子の胎内に注ぎ込まれていった。
 美子の膣肉はヒクヒクと蠢き続け、まるで佑介のペニスを放すまいとしているようだった。
 やがて、佑介は精も根も尽き果てたように美子の上にがっくりと崩れ落ちた。

「失神するんなんて生まれて初めて。腰が砕けちゃったみたい」
 失神から目覚めた美子は気だるい表情だったが、何処となく嬉しそうだった。
「僕も女の人が失神するところ初めて見ました。始め、死んじゃったんじゃないかと思って慌てちゃいましたよ。でも、失神する時の美子さん、すごく色っぽくてたまりませんでした」
「ありがとう。でも、本当に初めてなの? あちこちで色んなの女の人、失神させて喜ばせてるんじゃない?」
「そ、そんな事ないですよ。ぼ、僕、美子さんで二人目ですし……あっ!」
 自分が口を滑らした事に気づいた佑介は思わず声を上げてしまった。
「フフフッ、佑介君は正直ね。でも、もしよければその一人目の女の話しを聞かせてもらえないかしら?」
「え、いや、でも……」
 佑介は美貴の事を話すべきか迷った。美貴の事を話せば、恐らく芹沢の事も話さねばならないだろうと思ったからだ。
「ごめんなさい。プライベートな事を聞くのはルール違反だったわね」
少し、シュンとなる美子。
「ち、違うんです。そうじゃなくて……実は……」
 上手く話せば、芹沢の事は内緒に出来たかもしれないが、佑介は美子に秘密を作りたくなかったので、全てを正直に話した。
「そうだったの。じゃあ、私達が離婚したせいで佑介君に迷惑をかけてしまったのね」
 美子は申し訳なさそうに言った。
「それは違います。美貴さんは元々、芹沢課長が本命だったんです。だから、芹沢課長の離婚を知って、すぐに僕を振って、芹沢課長一本に絞ったんです。ですから美子さん達の責任では絶対にありません」
 佑介はきっぱりと言った。
「ありがとう。そう言ってもらえると気が楽になるわ。でも、佑介君は坂上さんが二股をかけていた事に気づいていたの?」
「いえ、全然知りませんでした。食事の時、美子さんから二ヶ月前に離婚したっていう話しを聞いて、それでわかったんです。美貴さんから突然別れ話を切り出されたのがちょうどそれくらいの時期だったんで……」
「そうなの……。佑介君は坂上さんの事を怨んでる?」
「別れた直後は怨んでました。いきなりでしたし、芹沢課長との事も後々、噂で知ったんで。でも、今は怨んでなんかいません。むしろ感謝してるくらいです。僕の初めての女ですし、色々な事を教えてくれましたし」
「そう。佑介君は大人なのね。私だったら怨んだままかもしれない……」
 美子は少し自嘲気味に言った。
「美子さんは芹沢さんの事を怨んでいますか?」
 佑介が聞き返す。
「そうね。怨んでは……いないわね。あの人の事、ある程度わかっていて結婚したんだし。ただ、途中で私の方が我慢できなくなってしまったっていうそれだけの事だから……」
「美子さんは芹沢課長と結婚した事を後悔していますか?」
「いいえ、後悔なんかしてないわ。色々あったけど、振り返ってみれば、嬉しかった事の方がずっとずっと多かったって、そう思うから……」
「なら良いじゃないですか。思い出は思い出として大切にしまっておけば良いと思います。後はこれからまた始めれば良いんじゃないですか? お互いに」
 佑介の言葉に美子はクスリと笑った。
「そうね。佑介君の言う通りね。本当は私の方から言わなきゃいけないセリフなのにね」
 美子がニッコリと微笑んだ。
「話しが丸く収まったところで、もう一回というのはどうでしょう?」
 佑介はいつのまにか硬さを取り戻した自分のペニスに手を添えながら言った。
「フフフッ、本当に若いのね。良いわ。でも、一回じゃ済まないわよ。覚悟なさい」
 そう言うと、美子はペニスに優しく指を絡め、佑介にそっと口付けた。
 そして、再び二人の夜が始まった。

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